ギリシャ神話の本
私のギリシャ神話 (集英社文庫)
本書、1999年4月から6月に放映された
NHK教育テレビの『人間講座<私のギリシャ神話>』のテキストに 加筆されたもの。 ふんだんに挿入されるギリシャ神話を題材にした絵画が、 とっても良い! この絵を眺めるだけでも、充分に価値あり、です。 機会があれば、この本を持参して、美術館巡りをしてみたいな、 と思っています。 この講義にあたっての阿刀田さんのコメント。 「・・この本の目的は次の2つに要約できるだろう。 一つは欧米文化の淵源を知ることだ。 ギリシャを知ることは欧米を知ることに通ずる。 21世紀はますます国際化していくだろう。肌色の異なる朋友たちの思考と知識の一端を 根本からながめてみることも無駄ではあるまい。 私たちの内なるギリシャ的なものをも、ときには見出すことがあるだろう。 もう一つは・・古代ギリシャの文明は、それ自体優れている。 現在でも生ものとして新鮮な価値を含んでいる。 古代ギリシャ哲学は、たとえばソクラテス一人を採ってみても 現代的な価値を失っていない。文学や芸術もまたしかり。 こうした文化は当然のことながら民族の神話と密接な関係を持っている。 ギリシャ神話の知識なしでは理解できない部分も大きいし、 加えてギリシャ神話は文学としてそれ自体ユニークな価値を持ち続けている。 この点は、とりわけこの本で触れたいポイントである。」
ギリシャ神話のどの部分に著者が面白味を感じているのかということと、著者がギリシャ神話をとても愛しているんだなということが伝わってきた一冊。「ギリシャ神話って面白いなあ、ちっとも古くさくないやんか」と、現代に通じる知恵のようなものを感じて、それがとても新鮮でしたね。
また、絵画や彫刻のカラー図版が多数、掲載されています。なかなかゴージャスな雰囲気がありましたし、その華やかさはいい意味での変化になっていたように思います。 「こうだったらもっとよかったのに」と注文をつけたくなったのは、次の二点。 まず、10〜11頁にかけて掲載されたギリシャ地図の、頁の見開き部分が見づらかったこと。地図を左側にずらすなどして、見やすい配慮をしていただきたかった。 もう一点は、第二章「ゼウス」の中に掲載された「オリンポス十二神」の表と、巻末の「ギリシャ神話関連略系図」のふたつを、前述したギリシャ地図の頁近くにまとめて掲載して欲しかったなと。本文を読んでいて何度も眺めたのがその三つの図表だったので、最初のほうにまとめて掲載されていると有難かったです。 本書でピックアップされたギリシャ神話の神々(もしくは、人間)は、次のとおり。 「プロメテウス」「ゼウス」「アルクメネ」「ヘラクレス」「アプロディテ」「ヘレネ」「ハデス」「アポロン」「ペルセウス」「アリアドネ」「メディア」「イピゲネイア」「シシュポス」「ミダス」「ピュグマリオン」「ナルキッソス」「オリオン」
ギリシア神話は、絵画をはじめ、舞台劇、映画、小説、歌の詩などいろんなところで多くの人が引用していたりします。気になっている方も多いのではないでしょうか。気にはなっていてもなかなかまとまって学ぶ機会がない、そんな方にはとてもお勧めな本です。かくいう私もそういう人間の一人で、ゼウス、ヘラクレス、ヴィーナス、アポロンなど日頃より耳にするのですが実のところ詳しく知っているわけではありません。分かっていればもっと深く味わえるのに、などと感じていた次第なのですが、この本が助けてくれます。面白いですね。ギリシア神話そのものにも興味が湧きあがって来ますし、なんとなく喩え話の意味するところがわかってきます。ちょっと手元においておくのに適しているかもしれません。やさしく書かれた本ですし、何より挿絵が有名な絵画になっていてそれを見ながら読み進めるとイメージが湧いてきます。ギリシア神話入門としてはとても良い本だと思います。
カオス、クロノス、ゼウス、アプロディーナ、、アレス、アポロン、バッカス、ヘラクレス、ペルセウス、ミノタウロス、イカロス、オリオン、ナスキッソス・・・・・・・・
皆どこかで聞いたことがあるようなないような。本書を読めば、きっと謎が解ける。さらに、理解しやすく、何より面白い。筆者の文体や推測が相乗的に効果して、より洗練された作品となっている。 太古の昔のギリシャ人の世界、宇宙に対す感覚が、現代でも(半永久的に)通じ得て、非常に鋭敏で斬新的であると言うことが論理的にではなく、哲学的に理解できる。さらに、ギリシャ神話をモチーフにした名匠の作品も掲載されていて、その優美さに心をたびたび奪われる。 本当に読みやすいので、ぜひお勧めしたい。
以前NHKの『人間講座』にホストとして出演した阿刀田氏のテキストを単行本にまとめたもので、さらに加筆し、番組では触れなかった登場人物にまで及んでいます。堅苦しいと敬遠していた方は、まずはこういった性格の、しかもしっかりとした作者の書いたものからお勧めします。
面白おかしく、阿刀田流の文章にグイグイ引かれていきますが、根底にあるのはしっかりとした解釈によるものなので、初心者の方にもお勧めします。興味をもたれたあとで、たとえば岩波などから出版されている方へ言ってもよいと思います。そのあとでも、この本は忘れられない一冊になることは間違いありません。 他にも『ホメロスを楽しむために』『ギリシア神話を知っていますか』もお勧めです。 余談ですが、番組では阿刀田氏がギリシアで赴いて構成されていましたが、ゼウスの色情話に及んだときに突然の雷雨になったのは、氏の指摘どおりゼウスが「余計なこと言うんじゃない!」と、怒っていたとしか思えませんでした。
ギリシャ神話の本私のギリシャ神話 (集英社文庫)
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