フィレンツェの本
フィレンツェ―初期ルネサンス美術の運命 (中公新書 (118))
ルネサンスという言葉はフランス語であり、何故か日本にはこのフランス語が導入された。本来ならイタリア語の蘇生を意味するリナッシメントを使うべきだろう。何故ならこの新しい芸術の潮流はまさにフィレンツェで生まれたからだ。その趣旨は中世時代に忘れ去られていたギリシャ、ローマ時代の優れた文化芸術をもう一度復興させようとした試みであり、また人間そのものの再発見をもたらした。そしてこの動向を強力に支援したのがメディチ家であった。この時代のフィレンツェには、精神的にも物質的にも新しい芸術とそれを推進する芸術家を育む総てが存在したが、皮肉にもここで育った天才たちが彼らの真の能力を発揮できたのはフィレンツェ以外の都市だった。著者はこうした歴史の矛盾を解き明かし、私たちがフィレンツェから学ぶ事の意義を明らかにしている。フィレンツェのルネサンス無くしては、その後のヨーロッパ文化はあり得なかったからだ。
イタリア旅行の前にガイドブックの補助として読みました。
文字サイズが出版年が古いため見にくかったですが、文章は読みやすくてよかったです。 ガイドブックだけでは現地で満足できないと思っている人にお勧めです。出来れば写真をカラーにして出版してほしいです。
フィレンツェについて書かれた入門書としては若桑みどり著「フィレンツェ―世界の都市と物語」(ISBN-13:978-4167291020)と双璧をなす入門書だと思う。
ページ数の制約から全てを網羅している本ではないが、最初50ページ強を当時の政治・社会情勢に当てているのは好感がもてる。美術作品は美術の知識だけでは真の理解は得られず、当時の社会情勢を知ることは重要だからである。 ルネサンス芸術に関しての記述はサン・ジョヴァンニ洗礼堂のコンペから始まり新プラトン主義まで、著者がチョイスした芸術家、作品について分かりやすく読みやすい文章で書いてある。これからルネサンスを学ぶ人や旅行に行く人に最適の本です。 1966年の初版以降、確実に版を重ねてきているロングセラーであり、今後もフィレンツェの本として基準作であり続けるのだから、出版社には文字サイズを是非改版してもらいたい一冊です。
クヮトロチェントロ(1400年代)のフィレンツェを中心にした美術の興亡を、高階秀爾氏らしい詳細に踏み込みながらも丁寧で分かりやすい文章で紹介した作品です。
フィレンツェという都市が、いかにしてルネサンスのような画期的な芸術界の新世界を導いたのか。またいかにして「芸術の都」フィレンツェが凋落していったのか、改めてよく理解できました。フィレンツェ人の芸術への高い理解と気風が、フィレンツェ芸術の栄光と衰退の両方の原因となったという氏の説得力に満ちた説はとても興味部会ものがありました。 また作品中で紹介されているボッティチェリ(BOTTICELLI, Sandro)の《ミネルヴァ(パラス)とケンタウロス》についての読み解きは、この時代の芸術家達の思考を端的に表現しているようで面白いです。
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