沢木耕太郎の本
天涯〈第2〉花は揺れ・闇は輝き
1999年12月24日リリース。つまりミレニアムの最後のクリスマス・イヴにリリース、となかなかオシャレである。1994年から1997年までの写真が収められている。
『深夜特急』の旅では何度も何度もカメラを売ってしまおうとするくらいだから、沢木耕太郎が写真の基礎知識や修練があるはずがないのだが、ここに収められている写真が放つオーラは強烈だ。それはまさに輝く光景を眼で見て、そのままフィルムに収めたということなのだと思える。ぶれやピントのボケも意図的ではないのだが、それが何ものにも増して語りかけてくる。『旅』ほどステキなモノはないだろう、と。 そして感じるものは沢木耕太郎が『どこを見ているか』だ。写真とは『どこを見ていたか』なのかもしれない、と思った。絶対に単行本で手に入れるべき一冊である。文庫では魅力が100分の1だ。
小説家が写真集を出すというと、何か不誠実なものを感じてしまうが、この本に関しては心配ご無用。
プロの写真家ではないのだから、写真の善し悪しは問題ではない。 今までの数えきれない旅の中で殆ど写真を残さなかった著者が1990年から旅にカメラを持っていくようになる。しかし撮らない。たまたま持っていったカメラを、たまたま持って歩くことがあった時だけ、たまたまシャッターを押す。そういった「偶然」の写真だが、後で見てみると何か独特の意味をもって見えてくる。 その様な写真達を素材として再構成していく、この工程に「手抜きがない」実に誠実に作られた本なのである。
沢木耕太郎の本天涯〈第2〉花は揺れ・闇は輝き
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