春江 一也の本
ウィーンの冬
プラハの春、ベルリンの秋につぐ3部作完結編。だけれど、何でかね。シルビアとカテリーナはいったい全体どこにいってしまったのか。愛情なんてのはそんなものなのか・・と思った。特にラストの淡々とした感じは、まったく別の物語としてならば、とても興味深い作品だったが。内容的には、歴史に基づき過去ではなく現在につづく名前まででてきていて、核戦争の裏取引と史実をもとに納得できる内容だった。作者のメッセージとして流れてくるのは日本の官僚、政治家、警察に対する憤りと警戒心のなさの指摘がよくよく伝わってきた。確かに、今回の経済に関しても、日本ってのはなんとも間が抜けている間が否めない。
「プラハの春」「ベルリンの秋」に続く三部作の完結編という触れ込みだったが、標準以上の作品ではあるものの、前二作に比べるとちょっとインパクトに欠ける内容で残念。映画と一緒で、パート2、パート3と続くごとに質が落ちていくのは世の常か。まあ、相対評価で質が落ちるという話であり、この本が単独で世の中で存在していれば、それなりの評価を受けるはずである。著者が元外交官であり、自分の実際の経験を脚色して書いていると思われる箇所もあり、現場感覚に富んだ現実的なタッチで書かれているのが魅力。
ひさしぶりの新作に大変期待したが、もの足りない気がした。
前作は国家(権力)、時代に翻弄され、その中で志を真っ当しようとした登場人物たちの生き様や恋愛などを他にはあまり例を見ない非常に面白い作品と感じた。今回は主人公の生活感(仕事、恋愛など)が広範ではほとんどなくなり、元ネタとなる宗教団体やテロ組織がらみの事件がすごくありふれて、春江さんらしさが薄くなったと感じた。 後半は流れがスピーディーでスリルがあり、読みやすい。
待ちに待った春江氏の新作だったが、私の期待がやや大きすぎた感じ。
確かに、海外からみる日本は不思議な国であり、ある面、弱小国家ともいえる。日本は対テロ対策、新興宗教の事件、北朝鮮による日本人拉致問題など、国家としての追求が甘く、それを外交官堀江亮介の眼をとおして、問題定義している点は素晴らしい。 物語中、亮が昔の恋を思い出し、ウィーンとプラハの雪景色、プラハ時代の恩師など読者を飽きさせない工夫は随所にみられるのだが、私も、亮とシルビアのロマンスをもっと楽しみたかった。 亮介の弟、洋三氏の事故から始まる書き出しは、思わず引き込まれる。
春江 一也の本ウィーンの冬
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