岩明 均の本
ヘウレーカ (ジェッツコミックス)
岩明均先生と言えば「寄生獣」「ヒストリエ」等の作品。しかし、僕が印象に残ったのは、この「ヘウレーカ」です。元々は本屋をぶらついてた時に
偶然見つけ衝動買いした(その為今は古本屋に売り払ってしまいました) だけなんですが、印象は今だに強いです。特にアルキメデスが段々と呆けていってしまう頭で、あれこれ研究しようとするシーンが悲しい。人間の業の深さと言う物を痛感させられました。
「雪の峠」や「ネオデビルマン」の読み切りで岩明均氏の凄さを痛感した私。誰もが勧める「寄生獣」は(金銭面で)簡単には手が出せないので1冊完結のこの本を手に取ってみました。
ハッピーエンドでは終わらない展開、凄惨な虐殺模様、キャラクターの独特で味のある表情、氏の作品特有の魅力は健在であるように思われます。 ですがどうも読後感が良くない。史実をベースにしている以上此れが"正しい"終わり方かもしれませんが…結局の所全く救いの無い終わり方は「雪の峠」で感じた"次なる時代への礎"的な要素が何一つ感じられず、唯の悲惨な話にしか感じられませんでした。 既出ですがダミッポスの性格も狙い過ぎの感が否めませんし。 まぁ、救われない話を求める方には良いと思います。登場人物の表情や構成力はやはり目を見張るものがありますし。紀元前を舞台とする漫画なんて相当珍しいと思いますので、歴史好きの方は一見の価値アリです。
岩明氏はアフタヌーンで「寄生獣」を描いた名家。
絵がなんとよいですね。 今回の作品は紀元前のシチリアを舞台に ローマから離反しようとするシラクサとローマ軍の戦いを 背景に主人公たちの人間模様が織り成されます。 アルキメデスも登場し知的な雰囲気も。 主人公はスパルタ人、世の中を覚めた眼で見ていますが、 勇気ある青年です。 ラストは少し悲しい。 でも歴史の無常観を味わうには この作品をぜひ。
塩野七生の「ローマ人の物語」で日本でもわりとメジャーになった、ハンニバル、スキピオ、アルキメデス、といった英雄・著名人が登場する時代。「ヘウレーカ」で描かれているのは、第2次ポエニ戦役時代に、シラクサ市がローマからカルタゴに寝返ったときのローマ軍による、シラクサ再征服の攻防ですが、本作品は、一般にこのような英雄時代にふさわしいような明るいものではありません。登場する人物の中で特別な人間は、ハンニバルとアルキメデスだけで、主人公ダミッポスは能力は高いが、まぁ、普通の青年の範囲。
アルキメデス発明の兵器がローマ軍を苦しめはするが、主人公は、結局恋人もアルキメデスも救えずに終わる。一件、歴史という大きな流れの中で翻弄される個人を描いた作品のように思えてしまうかもしれませんが、本作品は決して、「個人の可能性」を否定ているものではありません。彼の行為は、結果的とはいえ、戦勝軍隊による無用な敗戦市民の殺害を防ぐ一因にはなっている筈です。少なくとも敵方のローマの司令官には評価されていることは間違いありません。 彼が恋人とアルキメデスを救えなかったことのみに注目し、自分の可能性を否定して、腐ってしまうかどうかは、本人次第でしょう。主人公が、いつかそのことに気が付いて、前向きに生きていって欲しいと思います。 ラストの主人公は、どうみても人生に俯いてしまっているため、読後感はかならずしもよくはないかも知れませんが、「希望はある」、それをどうみるかは本人次第である、とい風に考えたいと思います。
『寄生獣』や『七夕の国』で作者が描いていた「この絶望的な世の中で、ちっぽけな力を与えられた人間が必死にもがくことの意義」が否定されてしまった。
この作品に登場するのは能力があるのに力を使わない、あるいは間違った方向に力を用いる人物たち。このあと主人公は変わるのか、民衆は立ち上がるのか!?続編に期待。
岩明 均の本ヘウレーカ (ジェッツコミックス)
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