沢木耕太郎の本

敗れざる者たち (文春文庫)

 
観点が独特(2009/03/13)
一流の素質がありながら一流になりきれなかったアスリートに密着して書かれたノンフィクションです。
それぞれの選手がかかえているものを独特の観点で読み取っています。
同じような観点で書かれているので、6つの短編がつながっているように感じました。
当時のスポーツ情勢を知らなくても面白く読むことができました。
これぞスポーツノンフィクション、と感じた一冊です。
 
昭和そのものだったかも(2009/03/11)
ここに載った作品は昭和47年から51年に発表されたものである。カシアス内藤、長島茂雄、円谷幸吉、イシノヒカル、榎本喜八、輪島功一。今の20代の若者にきいて知っているのは長島と輪島くらいか?知っていても現役の活躍は知らない。この作品に感情移入できるのは50才以上のおじさんだけか?

ベンケイ藤倉、弁慶を模したのかヒゲをたくわえていた。猛烈なファイターだったがパンチドランカーになっていた。無敗のまま日本ダービー優勝半月後ひっそり死んだトキノミノル。現役最後の年はボールが見にくくなっていたのか眼鏡をかけて打席に立っていた榎本。変則ボクシングで予想を完全に裏切って柳済斗に最終ラウンドで勝った輪島。なお「円谷幸吉記念館」は遺族の高齢化により2006年の秋に閉館した。
 
下り坂もいい(2009/03/10)
大学生のころに読んだこの本に大変刺激を受けました。

栄光を得たものたちが、その後もひたむきに自分の人生と向き合い、下り坂も経験していく「サマ」。ひとはそれを「ブザマ」と呼ぶかもしれないけれども、他人の評価ばかり気にして自分らしい生き方を出来ない人間が山ほどいるなかで、おのれを信じて生き抜くことができた彼らは美しいです。

前のめりになるほどに物事にのめり込めない人がいるなかで、ここに描かれている人物たちは常に自分自身を奮い立たせ、倒れても立ち上がる精神の崇高さを持ち備えています。だけど前のめりになりすぎて、いつかはつんのめって倒れてしまうかもしれないかっこわるさも持ち備えているのが、また魅力です。

この本は、これから社会に出ようとする若者たち、倒れても立ち上がる愛するべき中年のオッサン、オバチャンたちに読んで欲しいです!
 
もしもあのとき(2009/02/03)
もしも、あのとき、不世出の天才三塁手と同じチームに入っていなかったら……
もしも、あのとき、バントのゴロがあと一メートル転がっていたら……
もしも、あのとき、アベベの足の状態を円谷が知っていたら……
人生にも、スポーツにも「もしも」は存在しない。考えても仕方のないことだ。それでも、思わず考えてしまう「もしも」。
人生を決定的に分けていく、「もしも」の瞬間は、スポーツの世界にあって、人生の風味というか凄味というか、やるせないものを見せますね。
そんなことを感じながら、読み続けました。
 
長距離走者の遺書(2008/10/27)
「長距離走者の遺書」の円谷幸吉。川端康成の心も動かしたあの有名な遺書は28歳のときのものだそうです。

本書を読むと、3位に入った東京五輪のときには、余り期待もされておらずプレッシャーの少ない中での活躍だったようです。しかし、銅メダルを取ったことで環境は一変、プライベートで自分の結婚さえままならず(今では、少なくとも僕には信じられませんが・・現在のスポーツ界でも似たような状況はあるのでしょうか。)メキシコ五輪を控えケガを抱え、様々な悩みがあったことが自ら命を絶った背景にあったことが本書では強く示唆されています。本書を読むと、実に素直で朴訥、心の優しく、たまたま足の速かったひとりの青年像しか浮かんできません。その「たまたま」が短い人生を強い、せめていくばくかの従順さを失ったとしても、遺書など有名にならなくともこの好青年が不幸な結末を迎えなくて済む術はなかったものなのでしょうか。

沢木氏の眼は冷静で、その術は結論的にはなかった、と言っているようであり、それでもこの青年を暖かく見守っているようでもあります。
 
敗れざる者たち (文春文庫)
タイトル:敗れざる者たち (文春文庫)
定価:\530
販売価格:\530
発売日:1979/09
著者:沢木 耕太郎
出版社:文芸春秋
形態:文庫
在庫状況:在庫あり。
合計1,500円以上で送料無料!
※ 価格等のデータは日本時間 2009/08/14 05:00:13 時点のものです。

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