沢木耕太郎の本

 
期待はずれ(2009/04/02)
沢木氏の本は深夜特急以来、読むのを敬遠してましたが、題材が題材だけに素直に期待して読みました。

期待はずれです。

最初の方で、ディック・バスとメスナーを同列に論じており、いきなり読む気がなくなります。山野井のスタイルの先鋭さを強調したいのでしょうが、非常に粗雑な印象を受けます。

何が楽しくて山野井夫妻はこんな苦しい登山を続けているのか、この本を読んでも分かりません。登山はもともと楽しいもので、山野井のスタイルもその延長にあると言う視点が、山登りをしない沢木氏になかったと言うことでしょうか。

文庫版解説の池澤夏樹氏によれば、よくぞこれだけの登攀描写をとのことですが、私はむしろ、登山経験もないのに、よくも見てきたようなことをと言う印象を拭えませんでしたね。

何も私は沢木氏に、ヒマラヤ級のクライマーとしての経験があれば、とか言いたいわけではありません。ただ、丹沢に登るくらいの経験は必要だったのではないかと思います。
 
表現力を求める作品として読むなら(2009/02/17)
個人的には、山野井氏自身が書いた『垂直の記憶』の方が、本人が書いていることもあって、体験がそのまま綴られており、安心して共感して読むことができたので、評価したいと思う。

こちらの作品『凍』の方は、他人から見た山野井氏として描いている分、どうしても描写が客観的なものになりがちで、同じギャチュンカンで生死の境を彷徨った氏を描くにも鬼気迫るものが違ってくるように感じる。
どちらも山をやらない人でも読めるような構成となっているが、本書は著名な作家が書いているだけあって、表現としての山、という観点からは楽しめる内容となっている。
山野井氏に関する書籍は、本人が目立ちたがりでないことも関係してあまりないため、時間があれば両方読んでおくと良いと思います。
 
登山の素人の感想ですが、読後の衝撃が体から抜けません。(2009/02/11)
 本書は『新潮』2005年8月号に一挙掲載された「百の谷、雪の嶺」を改題・出版したもので、登山家・山野井泰史・妙子夫妻が中国・ネパール国境の山・ギャチュンカン(7952メートル)に北壁から挑戦した際の壮絶な登攀を描いています。約8000メートルの山に登ること自体が非常に厳しい闘いです。妙子氏は7500メートルから上を目指そうとした段階で体調不良のため登頂を断念、泰史氏が単独登頂を果たします。しかし、雪氷と雪崩、悪天候、凍傷に見舞われ、ベースキャンプ(約5500メートル)までの夫妻のそれぞれの下山行はまさに「闘い」です。下山後、泰史氏は凍傷にかかった右足の指5本と左右の手の薬指と小指を付け根から失いました。妙子氏は両手の指を付け根から失いました(ただし、両手の第二間接から上の指はギャチュカン以前の凍傷で既に切断)。

 レビュアーは登山には素人なので、山野井夫妻の登攀スキルの高さを、実感を持って理解できるわけではありません。しかし、描写されるような困難な状況で、冷静な判断をほとんど失わずに壁面を降下するのに必要な作業を淡々と実行できる山野井夫妻の凄さが伝わってきます。それほど高い登攀スキルを有している泰史氏でも下山中、疲労のために幻覚を見、焦りから壁面降下の手順を省略し、ロープに足を挟まれて身動きが取れなくなるというミスを犯してしまいます。これが一層、胸に迫ります。具体的に「何」が衝撃的かを特定することは困難ですが、読後の衝撃が体から抜けません。
 
山を通した夫婦の生き様(2009/02/01)
稀有な登山家・山野井夫妻の壮絶な山登りルポ。
タイトル通り、まさしく凍りつく感じの危機の連続。
ほんとなんか壮絶な世界をまるで見てきたように描いた、
リアルな話のサスペンス的物語で、
しかもそこに夫妻の山を通した生き様が描かれていて、とってもよい本でした。

かつての沢木耕太郎のノンフィクションのように、
彼の存在が皆無に等しいのが特徴かな。
登山家本人が書いたような本になっていて、
それで沢木耕太郎が書いたというのがなんとなくとても読みやすい。
 
想像を絶する(2008/07/02)
私は低山ハイカーなので高い山はもっぱら本や映像で楽しむだけなのですが、山野井夫妻のギャチュンカンの経験は凄まじいとしかいいようがないです。
渡したロープにブランコのように座って一晩ビバークとか(もちろん極寒のなか)目が見えなくなって素手で岩壁を探るとか、もうこれで今生の別れと思い立ち上がれない奥さんの写真を撮るところは泣けて泣けて・・・。
フィクションより凄いノンフィクションです。
 
凍
タイトル:
定価:\1,680
販売価格:\1,680
発売日:2005/09/29
著者:沢木 耕太郎
出版社:新潮社
形態:単行本
在庫状況:在庫あり。
合計1,500円以上で送料無料!
※ 価格等のデータは日本時間 2009/08/14 05:00:13 時点のものです。

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