ローマ人の物語の本
ローマ人の物語〈10〉― すべての道はローマに通ず
全15巻のローマ人の物語の中でも、インフラのみを取り上げた10巻は特異な巻である。
しかし、この巻にも人間の主役はいる。 アッピウス・クラウディウスである。 アッピウスは不世出の「天才」である。 彼は、アッピア街道と呼ばれる最初のローマ街道を建設した。 彼は、アッピア水道と呼ばれる最初のローマ水道を建設した。 両者は大帝国の基盤となり、ローマ世界中に広がった。 両者は19世紀に至るまで、世界最高水準の技術的地位を保ち続けた。 両者は2000年の時代を超えて、今もなお残っている。 「天才」以外に何と呼べば良いのか。 この巻は、アッピウス・クラウディウスの天才を知り、打ちのめされるためにある。
インフラ話だけでハードカバー一冊まるごとの分量をかけるだけあって、ボリューム感たっぷり。
さすがに読むのは辛いと思っていたのですが、一気に読み切りました。 一冊まるごと書けるだけあって、実にローマのインフラは興味深い。 これこそ偉大な文明であり、遺産であろう。 しかし読み終わった結論は……やっぱりユリウス・カエサルは偉大だったというものだったり。 インフラという面においても、カエサルはまごうことなき天才でした。
ただ、ローマの道や水道などの話が書いてあるだけなので、何故、こんなに面白いのだろう?
それは、とっぴな例えかもしれないが、素晴らしいマラソンのレースを見ているかのような存在そのものの感動があるからかも知れない。 人ではなく、まさしくインフラが主人公の異色の1章。
著者は前書きにて「戦闘の手に汗握る描写もない」し、2千年の歴史の中の世界全土を頭に入れておかなけれればならないし、で読むのに苦労するかもしれないと、あらかじめ公言している。
しかし、いざ読み始めると、案外他の巻より読みやすいのではないかとも思ってしまう。 歴史を俯瞰できる上に、ハードなインフラ(水道、道路)、ソフトなインフラ(医療、教育など)etc、ローマのローマたるゆえんが良くわかってとても面白い。 しかも、図版や写真がたくさん載っているので、ローマの歴史を肌で感じたい人には特にオススメです。
本書は、九巻までとは趣向が違っている。ローマ人の物語は主に、当時の主役たちが軸になり構成されているが、今回はローマ人が作ったインフラが主題になっている。ハード面では街道、橋、水道、ソフト面では医者、教育についてが主題になっている。
一見、退屈なテーマだが飽きが来ないのだから不思議だ。読みながら常にインフラとは何かについて考えさせてくれる。歴史を現代について考える道具として提供もしてくれている。後半はカラーページで前記内容の建造物を紹介している。
ローマ人の物語の本ローマ人の物語〈10〉― すべての道はローマに通ず
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