沢木耕太郎の本

深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)

 
さあ、今夜はたくさんお上がりなさいね(2009/05/14)
オリジナルは1986年5月リリースの『深夜特急 第二便』。本書はその後半部分を文庫化したもので、1994年4月25日リリース。文庫化の巻末には今福龍太氏との1993年2月掲載の対談『終わりなき旅の途上で』が加えられている。

『4』はインドを出発し、アフガニスタン→イランとシルクロードを西へと向かうところである。凄く意外だったのは建築家の磯崎新氏との親交だ。まだ無名だった頃から、奥様で彫刻家の宮脇愛子ともども再会を喜び合うシーンが出てくる。再会時の豪華な一食のために旅路を急ぐのが面白い。また、奥様の挨拶より先の『さあ、今夜はたくさんお上がりなさいね』が可笑しい。

ここでも様々な人に出会う。印象的なイスラムの老人たちの様子が心に残った。
 
今では辿ることが難しくなったシルクロードのバスの旅(2009/04/25)
旅に危険はつきものですが、政治情勢が不安定な国の旅は現在では難しくなりました。この「深夜特急」の第4作は、情報の少ない国々の魅力がダイレクトに伝わってきました。たとえそれが30年前の姿であったにせよ、バックパッカーにとって本書はバイブルのような存在でしょうから。

インドのアムリトサルからパキスタンのラホール、そしてラワール・ピンディーへ向かう長距離バスの荒っぽい運転は日本では考えられない凄まじさでした。理解を超える状態を体験するから旅の醍醐味を味わえるのでしょうが。
アフガニスタンへの旅も今では大変難しいルートになっています。ペシャワールからカイバル峠を越えてカブールそしてカンダハル、実に魅力的なルートですし、30年前の治安の良さを感じました。
カブールのアベズ・ホテルでの客引きの体験を通して、若者の生き方の違いを明確に示したわけで、生きることと旅の本質的な違いも浮き彫りにしたように感じました。

有名な建築家の磯崎新氏と彫刻家の宮脇愛子さんとの出会いもまた旅の触れ合いと人情の温かさを感じます。イランのテヘランでの街の魅力は、魅力的にかつ具体的に描かれています。「イランの京都」のイスファハンでのモスクの情景と祈りのシーンは印象的でした。挿入されているモハメッド・アリとジョージ・フォアマンの「世紀の一戦」をテレビ見たというシーンは、共有できる思い出でした。

イスファハンのバザールの老人との間で繰り広げられる時計売買のやり取りで感じる筆者の優しさと思いやりが、この長旅を筆者と一緒にたどる読者にとって清涼剤となっていることでしょう。
 
イスラムの国々に行ってみたい(2009/03/27)
 著者はバスに乗ってパキスタンからアフガニスタンそしてイランへと旅を続けます。
イスラム圏の国々は現在アメリカと敵対していて、そのアメリカと同盟関係にある日本にとってはこれらの国々はどちらかというと危険で怪しげなイメージがあります。
でも、時計売りのオジサンとか、客引きをさせるホテルの若造とか、バスに乗ってきた親切な役人とか、登場人物は皆個性的で魅力的です。
この本を読むと大寺院でコーランの朗誦を聞いたり、露天でカバブを食べ歩きたい気分になります。
 
蒼味を帯びた風(2008/08/04)
このシルクロード編を読んでいると、文中でも使われてる蒼味を帯びた風がスーッと吹いてく
るようなそんな感じを受ける。最初の方の勢いというものが薄れていき、著者自身の内面描写
にスポットが当たる部分も多い。だが迷い迷う姿には誠実さがあるような気がした。

ここでは乗り合いのバスがメインで淡々と進む所があるので、ある種起伏に欠けるが、それで
も一台のバスの中に多国籍の放浪者達が集まる画は想像しただけで何か面白いし、バスの窓か
ら時折覗く景色に非常に心が揺れるね。淡々としてるが、そこここに微妙に違う色があって
感慨深いね。

最初の香港編から物乞いはずーっと出てきたが、ここで登場したロッテルダムの男という青年
が、ほぼ限りなく文無しに近いのに、それでも物乞いの子供たちに自分の金をわけてやる姿に
は感動したし考えさせられたね。著者もそこで衝撃を受けて、ある意味解放されて自由に
なったと書いてるが、ほんとあげるのが良いとか悪いとかの理屈じゃないのね。生きるのも
生きれるのも理屈じゃないと、、、。

ここから旅も冬に突入するのかも、蒼味を帯びた風が吹いたとき、それがどこから吹いてるの
かと前に進めるか、その冷たさに震えて立ちすくむ、もしくは終わってしまう、そうゆう放浪
の旅独特の転機を垣間見た気がした。
 
バスの旅の始まり(2008/02/27)
この巻から本格的なバスの旅が始まります。
今までの滞在型の旅から移動を中心とした旅に変わったように感じました。
パキスタン、アフガニスタン、イランと移動して行きますが、特に今は行くことすら難しいアフガニスタンの部分は興味深く読めました。
また、それぞれの国の雰囲気の違いが伝わってきました。
 
深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)
タイトル:深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)
定価:\420
販売価格:\420
発売日:1994/04
著者:沢木 耕太郎
出版社:新潮社
形態:文庫
在庫状況:在庫あり。
合計1,500円以上で送料無料!
※ 価格等のデータは日本時間 2009/08/14 05:00:13 時点のものです。

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