ローマ人の物語(文庫版)の本
ローマ人の物語〈15〉パクス・ロマーナ(中) (新潮文庫)
本書の大半が、最高権力者の地位と権力を手に入れたアウグストゥスによる改革、とりわけ軍政や税制などの内政改革についての記述となっています。塩野氏が言うとおり、アウグストゥスの改革は慎重かつ巧妙に行われたために、帝政アレルギーをもつ元老院派とのせめぎあいなどが描かれる訳でもなく、正直、退屈に感じられる内容でした。
それでも後半は、アウグストゥスを永年支えてきたアグリッパ、マエケナスの死、有能な後継者ティベリウスと親友アグリッパの子でもある孫への愛情をめぐる血統に対するこだわりなど、アウグストゥスの人間らしさが少しずつにじみ出てきます。アウグストゥスの生涯を、単なる帝政を樹立した歴史ものという視点だけでなく、ヒューマンドラマとしても続きを読みたくなる内容になっています。
カエサルの大活躍には 塩野七生も躍動感と熱狂を持って語った。まるで 彼女自身が歌い踊っているかのような。これは 塩野が カエサルに恋をしているからである。恋する男性に対して歌を歌う姿も ある意味で すがすがしい。
一方 アウグストゥスの時代となると 塩野もまた きちんと座り 語り口も冷静になる。まるで 特に事件も無かったニュースのように。 但し そんな「ニュース」を作らず 静かに物事を進めたのがアウグストゥスだったのだと思う。塩野は 彼の用意周到さを じっくり書き出している。本巻の静かな雰囲気は アウグストゥスと塩野自身の共同作業の結果なのだと思う。 僕は思うのだが カエサルよりアウグストゥスの方が参考になる。カエサルは天才であっただけに これを真似することは不可能だ。一方 アウグストゥスは努力する秀才である。これは真似する価値があるのだと思う。 本巻ではアウグストゥスが 共和制という幻想を掲げながら帝政を引いていく姿を描いている。これは 組織論として読んでも 無類の面白さだ。塩野自身も そういう読み方を期待しているのだと思う次第だ。
若くしてローマを背負ってたつ立場になったアウグストゥスがいかにして広大なローマを改革していったかが刻銘に綴ってある。人にまつわることよりも、制度が云々の話が多いので私などは途中で飛ばし読みに変えてしまいました。
とはいえ、アウグストゥスの生涯の友人であり右腕であったアグリッパやマエケナスの活躍とその二人の相次ぐ死がどう影響しているのかは見もの。 アウグストゥス自身は虚弱な体に生まれついたにも関わらずなぜにそこまで長生きしてしまったのか・・・この人物は自分が死んだ後のことを考えて常に人事や行政を行っていたが故に全ての基盤を作りえたのではないかと思ってしまう。 個人の心には立ち入らなかったカエサルと政治的心理学には長けていても個人の感情には無頓着だったアウグストゥスの比較も面白い。
いよいよアウグストゥスがローマの平和を実現させるべく、ローマ全土のリストラとインフラ整備に乗り出す激動史。
といっても内政事業が大半を占めているので、父カエサルのような劇的なドラマトゥルギー性はない。しかし、内部を固めると言うことはこう言うことなのだなと思わずにはいられない、深謀遠慮の極みの成せる業。 ローマ帝国初代皇帝の基礎固めから発展への道のりは、かくも地味であるが、地味なだけに組織運営の最も良い参考書。 徳川家康など目ではない。
いよいよアウグストゥスがローマの平和を実現させるべく、ローマ全土のリストラとインフラ整備に乗り出す激動史。
といっても内政事業が大半を占めているので、父カエサルのような劇的なドラマトゥルギー性はない。しかし、内部を固めると言うことはこう言うことなのだなと思わずにはいられない、深謀遠慮の極みの成せる業。 ローマ帝国初代皇帝の基礎固めから発展への道のりは、かくも地味であるが、地味なだけに組織運営の最も良い参考書。 徳川家康など目ではない。
ローマ人の物語(文庫版)の本ローマ人の物語〈15〉パクス・ロマーナ(中) (新潮文庫)
話題の本、ロングセラー特集 |
リンク |