ローマ人の物語(文庫版)の本

ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)

 
夢見るリアリスト(2009/04/10)
ユリウス・カエサルが暗殺された、紀元前44年3月15日から
オクタヴィアヌスがアントニウスとクレオパトラに勝利し、
ローマ世界の元首となる迄を描いた下巻。
紀元前44年3月15日〜紀元前30年までの出来事。

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カエサルの同年代の政治家、キケロの
カエサルの暗殺についての台詞。

『何のための殺害であったのか!』

ほんとにその通りで。
読んでいるこちらまで。
そう思ってしまう。

後の帝政ローマの初代皇帝となる、
若干18歳のオクタヴィアヌスが出てくるが。
ローマ市民達と同様に。

『オクタヴィアヌス、WHO?』

と云いたくなる。
これからオクタヴィアヌスの活躍が
描かれていくのだろうけれど。
どうしてもカエサルが生きていた頃の
活躍と比較してしまう。

クレオパトラとアントニウスの章に至っては
アントニウスの体たらくっぷりにガッカリ。
クレオパトラの我侭っぷりにガックリ。

まったくもって。
何のための殺害であったのか。
もうちょっとカエサルの活躍が読みたく。
至極残念。

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カエサルの台詞。

『どれほど悪い結果に終わったことでも、
 それがはじめられたそもそもの動機は
 善意によるものであった。』

性善説で生きている人なのだろうなと思うと同時に。
現実をよく知っていたのだろうなと思いました。

とあるマンガに。
自らのことを『夢見るリアリスト』と称する
首相が出てきましたが。
同じような感じがしました。

よく、仕事を進める際には、
性悪説で考えろ、等と耳にしますが。
上のカエサルの言葉通り。
失敗しようと思って仕事をする人は、
あまりいないと思うわけで。
 
身の丈に合わない理想(2008/05/11)
 この作品では、アントニウスとクレオパトラがダメな人間として描かれている。アントニウスは、軍団長としては有能だが政治センスがない人間として、クレオパトラは、教養はあるが統治者として現実的に行動できない人間として。これは、知らないなりに抱いていたイメージを崩壊させるのに十分だった。
 自分で自分を冷静に見ることは難しい。アントニウスも、カエサルの下でとはいえ、十分な軍事的実績を積んだ人間。クレオパトラにしても、自分の美貌で国を取ったという自負がある。カエサル亡き後、ローマ世界を支配できると思ったとしても無理はないだろう。
 しかし、現実は残酷だ。オクタヴィアヌスと対比されることで、政治的センスのなさを目の前に突きつけられてしまうのだ。
 
塩野作品の最高傑作(2008/04/05)
カエサル暗殺。カエサル好きを自認する塩野氏がこの場面をどのように記述するか関心がありましたが、極めて簡潔にカエサルの死の事実を記述するのみに留めており、意外な印象をもちました。書きたくなかったのかな?
本書の主題はむしろ、カエサルの死が何を引き起こしたか、誰にどのような影響を与えたか、という視点で、アントニウス、クレオパトラ、オクタヴィアヌスを中心に描いていきます。
世界史に暗く、もちろんシェークスピアすら知らない私にとっては、塩野氏が書くクレオパトラ側への記述が適当なのかは分かりませんが、歴史というのは同じ事柄でも勝者・敗者で見方が違うもの。常にローマ側(カエサル側)にたつ塩野氏の表現でも違和感なく楽しめました。
ちなみに、「ユリウス・カエサル」(文庫8〜13)は「ローマ人の物語」のなかで最高傑作だと思います。たった50年間の話なのにカエサル自身の波乱に満ちた人生をはじめ、キケロなど多くの名脇役が絡むストーリーはへたな小説を読むより圧倒的に面白いです。その理由を塩野氏自身が巻末の資料紹介で書いていますが、それがまた的確な指摘で説得力があるため、ますます読み返したくなります。
 
カエサル亡き後の混乱(2008/02/12)
 ユリウス・カエサルが暗殺されるのが紀元前44年3月15日。オクタヴィアヌスがエジプト遠征を起こしてアントニウスとクレオパトラを自殺に追いやりローマに凱旋したのが紀元前30年8月1日。それが本巻の扱う内容である。

 カエサルは、カエサル支持者に対しても、反カエサルの人に対しても、圧倒的な存在感を保持していた。輝かしい戦績、戦えば必ず勝つに違いないという信念。この武将がパルティア遠征を行って成功を収めたら王位についてしまうのではないか。そういう疑心暗鬼が高じて暗殺に至ってしまった。その後、ローマの主権は、アントニウスとオクタヴィアヌスの2人の間を行き来する。

 アントニウスというカエサル股肱の武将の成れの果てには興味深いものがあったが、家庭では女に篭絡され、戦場では仲間を裏切って信用を失い、挙句の果てに愛した女に先立たれてしまった。自死を選ぶ勇気が残っていたことは不幸中の幸いだった。
 
カエサルへの挽歌(2007/09/26)
 本書でカエサルが死ぬ。

 カエサルを熱烈に愛しているであろう塩野にして このカエサルの死はあっさり描いている。小説家として いくらでも書きようがあるであろうに。そんなあっさりした書き方にかえって 塩野の「悲しみ」が伺えるように思えてならない。
 結局 カエサルは ローマという大版図の「グランドデザイン」を描いたところで この世を去ることになってしまった。カエサルが 後 10年でも生きていたら今の世界も変わっていたのかもしれない。
 歴史にIFは禁物とは言うが。

 カエサルの死後 オクタヴィアヌスが アントニウスを葬り去るところまでを本巻は語る。つまり そこまでがカエサルの描いたシナリオであったと塩野は言っているわけだ。
 オクタヴィアヌスは そんなカエサルのシナリオに従い ローマの皇帝になった。

 次からがオクタヴィアヌスが織り始める 物語である。
 
ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)
タイトル:ローマ人の物語〈13〉ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下) (新潮文庫)
定価:\460
販売価格:\460
発売日:2004/09
著者:塩野 七生
出版社:新潮社
形態:文庫
在庫状況:在庫あり。
合計1,500円以上で送料無料!
※ 価格等のデータは日本時間 2009/08/14 05:00:10 時点のものです。

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