井上 雄彦の本
バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (16) (モーニングKC (871))
14巻〜18巻では、佐々木小次郎が生まれてから武蔵に出会うまでの物語が語られる。
育ての親・鐘巻に剣を教わりたがる小次郎。しかし鐘巻は、小次郎に「お前には剣を教えない」と言う。小次郎はそんな鐘巻に襲い掛かりその都度、鐘巻に返り討ちに遭う日々を送る。 そんな時、鐘巻を伊藤一刀斎が訪ねてくる。鐘巻よりも剣才があり、名も知られている伊藤だが、未だに鐘巻を師と仰ぎ、自分が鐘巻の一番弟子であると公言する。伊藤は、弟弟子の小次郎の中に虎を見てその虎を目覚めさせようと小次郎を挑発する。 小次郎が海辺を歩いていると、伊藤を捜す吉岡一門とすれ違う。中には、若き日の伝七郎、植田もいた。伊藤は、これは良い機会とばかりに小次郎と吉岡一門とを戦わせる。 小次郎は二人を切り、伝七郎と対峙する。しかしその時、伊藤は、刀に対する恐怖の全く無い小次郎の様子を見て、小次郎の足に刀を突き刺し、小次郎に刀で切られる痛みを経験させる。それは小次郎がまだ赤ん坊の頃に沢庵がやったのと同じ行為だった。小次郎の脳裏に痛みの記憶が蘇る。小次郎は恐怖を覚えるが、まだ戦いを止めようとしない。小次郎は戦いを楽しんでいた。 伊藤も戦いを止めない。口ばかり達者で度胸の無い伝七郎は、父・拳法の名前を再三再四叫んで、戦いを避けようとするが、耳の聞こえない小次郎に父の威光は通じない。伝七郎は自分を奮い立たせ、遂に小次郎との生死を賭けた決闘を覚悟する。 武蔵が剛なら小次郎は柔。小次郎には不思議な魅力を感じる。この頃の伝七郎はあまりにふがいないが、あえてその成長ぶりを見せる漫画、作者は凄い。
耳の聞こえない佐々木小次郎が剣の魅力に目覚める。
佐々木小次郎に関しては謎が多く生まれた年さえ諸説紛々だが、まさか耳を聞こえなくしてしまうとは、井上氏の設定には驚かされる。これが後で、燕返しにどのようにつながっていくのか楽しみだ。
小次郎が夜の砂浜でひとり木刀を振るシーンは、その場の空気感まで伝わってきそうな静かな迫力がある。
おりんちゃんがもっと小次郎の成長にからんでくるのかと思ったら、この巻ではほとんど出番がない・・・
原作にない部分であるがゆえに小次郎の成長期についてはかなりじっくり取り組まれている様子がよくわかります。その分、最近物語の進展がゆっくりめなのは少し残念です。 しかし、ついに小次郎が戦いに目覚めつつあるのでこの後の展開がとても楽しみです。剣の楽しみを覚えてしまった小次郎、いとしさゆえに剣の世界から小次郎を遠ざけようとする鐘巻自斎、互いの思いが交錯する中、世間では天下分け目の大戦が....様々な複線が張り巡らされていて再登場キャラも出てきて目が離せません。中でも伊藤一刀斎の大胆さは蒼天航路を思い出すぐらい派手でとても魅力的です。
なんとなく分かってはいたのですが、第16巻は武蔵が登場しません。
オール小次郎です。読んだあと違和感が残りました。
井上 雄彦の本バガボンド―原作吉川英治『宮本武蔵』より (16) (モーニングKC (871))
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