岩明 均の本
ヒストリエ vol.2 (2) (アフタヌーンKC)
スキタイ人とギリシャ人の違いがはっきりと描かれており、実に面白い。
教科書だと、スキタイ人など名前しか出てこないくらいだが、具体的にどんな民族だったのかが、これで分かる!
第2巻には1巻に続いて物語序盤でのエウメネスの人物造形について重要な伏線が張られている。それが「現実のスキタイ人」であるトラクスの登場である。ギリシャ人として過ごして来た少年期のエウメネス。その彼の中にある異質な要素「スキタイ人」。既にそれは第1巻7話の「同じ夢」で暗示されているが、これはあくまで夢である。実際この先もエウメネス自身の目には、夢の中の女は常に漠然とした姿でしか現れない。だがトラクスは現実にエウメネスの前に姿を現す。その美しくて残虐な戦いぶりが3話に渉って描かれる。彼に対するエウメネスの強い共感。そして、直後にエウメネス自身もスキタイ人であると云う事が明らかになる。淡々と出来事を語っているようでいて、実は極めて綿密に構成されたストーリーだ。
この「スキタイ人」であり「ギリシャ人」でもあると云う異質性を内包する事によって、エウメネスの人物造形は「寄生獣」・「七夕の国」から大きな飛躍を遂げた。恐らくエウメネスの中のこの「異質性」の発展が物語の中で大きな意味を持つ事になるだろう。エウメネスがどのように成長していくのか。今後の展開に大きな期待を抱かせる。
スキタイ人にも温かい人はいたんでしょうが、この巻ではあくまでその「温度ある冷酷さ」が強調されています。
奴隷のスキタイ人トラクスは、家畜以下の扱いを受け続けますが、遂に錠を全て解放し、同胞たちのいる元へ帰還しようと動き出します。 主人公はその逃亡劇の参加者になってしまうわけですが、同じスキタイ人的な本能で幾つもの「死」を認識します。 それはまるで寄生獣のミギー的な、人間的で動物的な「野生」の肯定。 まあレヴェルの高い作品の揃う漫画界の金字塔雑誌アフタヌーンで連載してるくらいですから、面白さ、というよりも、「癒し」は保障されているわけです。ちなみに、この作品のマニュアル本とも言うべき本も出てま・・・。
ホメロスの『オデュッセイア』が一番好きだと語る主人公が、おそらくオデュッセウスと似たような境遇に陥るのであろう所で2巻は終了、1巻で既に故郷に帰ったわけだが、今後は1巻までの波乱万丈の物語が描かれるのだろうか、あるいは書記官時代が描かれるのだろうか。
「本には何も書いていない」と呟く主人公が物語の主人公と似たような境遇になり、さらに書を書く職業である書記官となる過程、今から楽しみだ。
岩明 均の本ヒストリエ vol.2 (2) (アフタヌーンKC)
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