岩明 均の本
寄生獣 (9) (アフタヌーンKC (95))
この巻は、色々な意味で激動の巻だと思う。大部分がパニックを回避するために敢えて警察隊と称する自衛隊VS寄生獣との公共機関での対決が、そしてそれは自衛隊VS「完全体」後藤との死闘に変貌していく。特別モニターを使用したりして寄生獣を判別する緊張感や「殺人犯」を連行しての役所内の「寄生獣狩り」は緊張感でいっぱいになる。
人間側圧倒的優勢だった戦況は後藤1人であっという間に覆される。漫画の表現枠を超えた。圧倒的なスケールと想像を絶する後藤の攻撃に読者もびっくりするだろう。「広川」の予想外の結末にもびっくりする。これは、皆期待を裏切られたに違いない。 そして終盤は、予期せぬミギ―との決別。今まで人間的な一面を持ち合わせていたミギ―だが根底には、正体を知られたら友人近親者であっても容赦はしないという冷酷な部分があった。しかし、この巻では初めてだろうか、本当の人間性溢れる行動を取ったミギ―を見る事ができる。つまり「自己犠牲」だ。 前半の非情な想像を超えた死闘と後半のミギ―の友情。 色々凝縮された巻だ。
いよいよ寄生獣に対し人間たちの大規模な戦闘が開始された!戦場は寄生獣が最も多く存在する市役所である。初めのうちは人間側が優勢であった・・・がしかし、そこには最強の寄生獣「後藤」が、一気に形勢逆転される。そして、後藤は新一へと標的を替え襲いかかる。新一を助けるべく「ミギー」は自分の身を犠牲にして戦う。うまく逃げ出せた新一は「ミギー」を失ったことからひどく悲しみ泣き崩れてしまうのだった。
前巻で田宮良子の出した「答え」とは180度違ったテーマが提示される。それは、「人間は自然よりも強い」という、ある意味では当たり前の事実である。
寄生生物は、素手の人間よりは間違いなく強い。だが、人間は、自衛隊まで動員し、東福山市役所庁舎に集まった寄生生物を「駆除」するために作戦を行う。そして、寄生生物は、ただ一人後藤を除いてすべて倒されるのである。 その戦いでの、広川の最後の演説を聞いてほしい。彼は寄生生物の存在を肯定し、同時に人間の存在価値を否定する。私達人間は、感情論以外でこの論理を否定することができるのだろうか? また、この演説で、作者の張った最大の伏線が判明する。この伏線の意味について考えてみると興味深い。
岩明 均の本寄生獣 (9) (アフタヌーンKC (95))
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